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- 不正咬合が体に与える影響
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歯が正しい咬み方をしていないと十分に物が咬めないので、胃や腸の消化器に悪い影響をおよぼします。また、歯が正しく咬み合わないと関節や筋肉の働きが正常に行われないので、顔の形、姿勢、成長にも影響がでることがあります。
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- 虫歯や歯周病になりやすくなる
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歯ならびが悪いと食べた物が歯の間にたまりやすくなります。そして溜まったものが長い間その場所に残り、そこから虫歯になったり、歯ぐきを刺激して歯肉炎を起こしたりします。また、不正咬合はある特定の歯にのみ力がかかり、歯肉を傷つけたり、歯周組織にダメージを与えることがあります。
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- 口元が気になる(コンプレックス)
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出っ歯や受け口や乱杭歯の人は、口元に自信がなく、人前で笑うことに抵抗を感じていたり心理的な問題をもっている場合があります。また、歯並びは容貌や表情に深くかかわっており、歯ならびを美しくすることで、顔貌の印象を変えることが出来ます。美しい、愛嬌のある笑顔はその人にとって大きな財産です。
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- 発音がしにくい
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開咬、反対咬合の場合には舌が前方位をとるので、サ行、ザ行母音に影響がでます。舌小帯異常の場合には、舌が口蓋に接しないために、ラ行に発音障害がでます。
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- 不正咬合が起こる原因
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不正咬合の起こる原因は大きく分けて2つ考えられます。1つは遺伝といった先天的な原因です。顔つき、体格、歯の大きさなどが遺伝するように、歯並びも遺伝すると考えられます。もう1つは、後天的な原因です。「指しゃぶり」や「爪を噛む」といった悪い癖があったり、乳歯が良いタイミングで脱落しなかったり、虫歯を治療せずに放置した場合です。しかし多くの場合、不正咬合はいろいろの要素が混じり合って成り立っているので、1つの原因にしぼることはできないものです。
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- 矯正装置について
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装置にはいくつもの種類があります。ほとんどの方は歯の表面に貼り付けるタイプの矯正装置になります。プラスチック製やセラミック製など、目立ちにくく審美性に優れた装置もあります。また、外見上まったく見えない、歯の裏側に装着する装置や、ほとんど見えない透明のトレーのような装置もあります。しかし、このような装置は、どの症例にも適用できるものではないので、一度相談して下さい。
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- 矯正装置を入れると痛いでしょうか?
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個人差はありますが、装置を入れて数日間は、違和感や、稀に痛みを感じることがあります。しかし、その違和感や痛みも数日でなくなりますので心配いりません。
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- 矯正治療中には患者はどのような点に心掛けなければなりませんか?
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よい治療結果を得るためには、装置の管理、口の中の管理について患者さんの協力が必要です。患者さんの協力がなければ、いくらよい装置を入れても治りません。食後の歯磨きは絶対に必要です。虫歯はすぐに治しましょう。
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- 治療に最適な年齢は?
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不正咬合の種類によって始める時期は違います。歯に適当な力を加えると、歯を支えている骨が吸収したり新しくできたりして歯が移動します。ですから、歯を動かすことに関しては年齢はほとんど関係ありません。しかし、まだ成長のある子供の時から治療を始めると、顎の成長をコントロールしたり、乳歯との生え換わりの時期を利用して歯を抜かずに治療できたり、骨格的な問題を解決できることがあります。
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- 矯正治療のために抜歯する可能性について。
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すべての矯正医は、まず最初に歯を抜かずに歯が機能的に咬み合うように並ぶことを考えます。しかし、歯と顎の大きさのバランスが悪い場合には、歯を抜かずに並べるのが困難な場合があります。通常、歯と顎の検査を行い、歯や顎の大きさや形、歯の傾斜や位置、口元の審美性などを検討した上で、抜歯あるいは非抜歯で治療するかどうかを決定します。顎と歯のバランスを良くすることにより、歯は長期に安定し、審美性も満足されます。抜歯した場所へは隣の歯が移動しますのでスペースは残りません。また新しく骨ができ、正常な形態が再現されますので、将来歯が動揺するようなことはありません。正しく並べられた歯は歯磨きがしやすく、歯肉の病気や虫歯になりにくくなりますので、かえって歯の寿命は延びます。
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- すべての不正咬合は治療できますか?
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多くの不正咬合は、矯正治療だけでも治すことができます。しかし、歯周病、歯の欠損、遺伝的な問題、ホルモンの影響によるような不正咬合は矯正治療だけで治療できない場合があります。そういうケースは、他の専門医と協力して治療していきます。子供さんの場合、指しゃぶりのような悪い癖や乳歯の虫歯、乳歯の早期の脱落などを早い時期に発見すれば、不正咬合になることを防止することができます。
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- 矯正治療の期間について
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不正咬合の程度や開始する年齢によって異なりますが、ほとんどの場合、治療期間は1.5年から3年です。しかし、治療中に虫歯にかかったり、診療の予約のキャンセルが多いと治療が長引くことがあります。このように治療期間は長いですが、通院は4~8週に1回位です。
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- 引越しのため他の矯正歯科に変更したいのですが、可能でしょうか?
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引越しで現在治療を受けている矯正歯科への通院が難しい場合は、転居先から通院しやすい医院への転院は可能です。転院に際しては、治療方針や経過など必要な資料を次の先生に引き継ぎます。治療費については、通常、治療段階に応じて費用を精算します。転居先のお近くの矯正歯科をご紹介することも可能です。ただし、転院先での治療費設定が異なる場合がありますのでご了承下さい。
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- 矯正治療に健康保険は適用されますか?
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手術が必要な矯正治療や、口唇口蓋裂の患者様の場合、健康保険が適用されます。しかし、それ以外の矯正治療は健康保険の対象外となります。健康保険の対象外であっても医療費控除の対象となりますので、ご不明な点がございましたらいつでもご相談ください。
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- 医療費控除は適用されますか?
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矯正治療は医療行為ですので適用されます。確定申告の際に医療費控除を申請していただくことが必要です。医療費控除の申請には領収書に加え、診断書を必要とする場合もありますのでご希望の場合はお申し出ください。